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利他の精神

こんにちは。村長です。

●私を葛藤させる「利他の精神」

以前にも書きましたが、やはり世代間ギャップを感じる毎日です。
「分け与える」「手放す」「シェアする」とでも言えばいいのか、つまり利他の精神を持っている人たちが私の周囲に多く居て、その彼らの多くが30歳前後。一方で、資本主義社会の中で、特に社会人になってからは資本の争奪が当たり前と教わり、突進してきた私にとっては不足していた価値観。それゆえ、彼らと過ごす日々は良き葛藤の連続です。

この願ってもない機会に、この新たな価値観をどれだけ受け入れることができるかというのが、今後の自分の人生の方向性を決めるような気がしていて、
「あ、また俺は自分の手中に収めようとしてた!アカンタレ!」
「えー!お前はそれも手放すの???」
なんて、周囲の若者の言動と自分の内心を対比させながら、日々楽しく反省しています。

 

●「囲い込まず、手放す」/カブト虫解放大作戦
この歳になって思想がフラついている父親として、我が子たちには若いうちから「囲い込まず、手放す」という感覚を身に着けておいてほしいと考えています。

この夏、5歳の長男、明治が「Aくんがな、保育園にカブト虫持って来てるねん。だからな、ボクもカブト虫欲しいねん。」と言い出したので、明治を連れて近所の山にカブト虫を捕まえに行きました。
そしてその道中、明治と一つ約束事を作りました。

私:「カブト虫を捕まえたらお家で飼おう。昼間は保育園に持って行ってもええ。せやけどあいつらだって自然の中で自由に羽ばたきたいと思ってるやろうから、3日飼ったら、逃がしてあげよう。」

明治:「えー!せっかく捕まえても、逃がすん?Aくんは逃がしたくなさそうやで。僕ももっと観たいから逃がしたくないねんけどなー。もうちょっとだけ保育園に居てほしいねんけどなー。」

私:「せやけど捕まえられたまま死んでいったらカブト虫がかわいそうやろ。それに、逃がしたらまた別のカブト虫を捕まえに行ったらええねん。」

明治:「うん、まぁそうやけど。。。」

というわけで、しぶしぶですがこの約束を受け入れてもらいました。

それ以来、捕まえては逃がし、捕まえては逃がしを繰り返しました。
私の幼少期はカブト虫やクワガタ虫を大量に捕まえて、大きめの水槽にカブト虫が快適に過ごせる楽園を作って飼っていました。捕まえてはその中に入れて、死ぬまで自分のものとして抱えていました。自分で捕まえて、自分が創り上げた楽園の中に囲い込む。それってたぶん、人間の性みたいなもんなんだと思います。

それをあえて解き放つ。
後日の会話。

明治:「ボクな、まだカブト虫を捕まえてへんかった時、捕まえてるみんなのことええなー、と思っててん。僕も早く捕まえたいなーと思っててん。」

私:「そらそうやろな。みんな持ってたら欲しくなるわな。せやけど、せっかく捕まえたカブト虫をお父さんに『逃がせ』って言われてるやん。それについてはどう思ってんの?」

明治:「最初はもっと観たいから逃がしたくなかったけど、もう『逃がせ』って言われることが嫌じゃなくなったで。2,3日観れるだけでも嬉しいし、カブト虫が飛んでいくところを見ることもあんまりないしさ。」

おぉ、けっこうポジティブな受け止め方をしていることに親として一安心。
ちっぽけなことですが、このカブト虫解放大作戦で、子どもの頃から「囲い込まず、手放す」ことに対する許容範囲が少しでも広くなればいいな、と思っています。

 

「囲い込まず、手放す」カブト虫、クワガタ虫は3日で解放

「囲い込まず、手放す」
カブト虫、クワガタ虫は3日で解放

 

●横田家に見る、利他の精神の育み方

一方、この親父は欲に迷い、惑う日々で、未だ利他の精神になりきれずに迷走しております(笑)
そんな中、ある親子からヒントをいただきました。
その親子とは横田親子です。

横田いたると言えば、昨年30歳で丹波市の市議会議員になった友人で、経営コンサルや町づくりを率先してやっております。彼は非常に利他の精神を持っていて、どこからそんなエネルギーが出てくるんだろうか、と不思議に思うほど周囲の人や地域に対して尽力しています。今日もどこかでハッスルしてるんでしょう。

私にとってはあまりに尋常でない彼だから、以前から興味がありました、「横田いたるの作り方」について。

で、先日たまたま彼の実家にオジャマする機会があったので、美味しいお食事とお酒をいただきながら、ご両親に根掘り葉掘り「作り方」を伺ってまいりました。

勝手に結論付けると、彼の人間形成において大きく影響したのは、どうやら遺伝的な要素と家庭教育の両面のようです。

横田家では子どもたちが幼少期から、父親である横田裕史氏が「嘘をつくな」「真っ直ぐに生きろ」「弱いものイジメをするな」みたいな、人間として守るべきルール、規範を叩き込んでおられたようです。そういう個々のルールや規範だけを伝えるのであればよくある話だと思うんですが、裕史氏はルールや規範だけでなく、思想までを子どもたちに伝えておられました。その思想が所謂「利他の精神」です。

それはまた、裕史氏のお父さん、つまり横田いたるのおじいさん(横田元吾氏)から受け継がれたものも多くあるようです。偶然にも、横田元吾氏も桑名市の市議会議員を長くされていました。31歳で桑名に引っ越し、その2か月後に出馬、当選を果たすという、まぁどこかで聞いたことがあるような血は争えんという話(笑)
【訂正】横田元吾は27歳で桑名市に入り二ヶ月で市議選に出馬し、見事に落選。 4年後31歳で市議選に再出馬し 皆さんの応援の下 当選させていただきました。(横田裕史さんより)

そこでは一つ、印象深いエピソードがありました。元吾氏は初出馬を共産党からされたようですが、その選挙戦の最中、迷子で困っている方がいるという情報を元吾氏は聞きつけます。そこからその日は「横田をよろしく!」という選挙活動を放ったらかして、その迷子を探し出すために町を練り歩きます。おかげで迷子は無事見つかりました。

しかし、選挙事務所に帰って来ると、共産党員から選挙活動を放ったらかしたことを叱責されたようです。選挙を舐めるな、と。それに対して元吾氏の言動が気持ちいい。
【訂正】当時の選挙事務長は、共産党の方ではなく 桑名では比較的大きな建設会社の専務さんで日頃から大変御世話になっていた方です。(横田裕史さんより)

元吾氏:「確かに選挙戦で遅れを取ってしまったかもしれません。すみませんでした。せやけどな・・・、困ってる人が目の前におったら横田の血が騒ぐんじゃー!

と叫んだそうです。
そしてその姿を、息子である裕史少年はその目に焼き付けていました。

その後も、伊勢湾台風で人助けを最優先しなかった(らしい)当時の党に反発し、離党するなど、自らの保身を一切行わず、周囲の人の幸福度を上げる活動に注力されました。その利他の精神を、裕史少年はずっと見てきました。

補足】共産党脱退については、伊勢湾台風がきっかけであったことは間違いありません。何れにしても 正義感だけは強く 桑名の市民からは、結構支持されて 貧乏市議を7期務め60歳で逝きました。(横田裕史さんより)

それから時が経ち、裕史氏は3人の子どもを持ち、また、同じように生き方、思想を子どもたちに伝えていきます。また勤めていた会社では役員に登用され、業績の悪い営業所を任されては、生き方、思想を社員に説いて再建に取り組まれました。時には自らの辞表をかけて、社員を焚きつけることもあったようです。一歩間違えたら無職になるところです。そうした保身しないスタンスで社員を動かし、次々と営業所の再生を成功させてこられました。

そして今、経営コンサルや町づくりコンサルにおいて、その企業や町がどうあるべきか、経営者や従業員、市民が幸せになるにはどうしたらいいのか、と、人の生き方の根底まで話を掘り下げて対話し東奔西走しているのが、横田いたる。利他の精神で保身しない姿は父や祖父と同じ。

まぁあえて違いがあるとすれば、父裕史氏と違って、実際に一歩間違えて無職となった時期があったことくらいでしょうか(笑)

そんな横田いたるにも2人の息子がおりますが、そう言えば彼ら2人に対しての接し方は非常に熱く、そして真摯。なんか、元吾さんが裕史さんにしたように、裕史さんが横田にしたように。横田家流のコミュニケーションが代々受け継がれてるわけですね。

 

横田親子性格も体格もよう似てはります

横田親子
性格も体格もよう似てはります

 

●「親育て」 子どもに恥じない生き様を 見せて育つは我が利他の精神 (字余り)

なんでも最近、「情けは人のためならず」という諺を、大阪大大学院の研究グループが科学的に実証したとのこと。

研究では、大阪府内の5、6歳児70人を対象に日常の行動を観察。1人がおもちゃを貸すなどの親切な行動をとった際、周囲1メートル以内にいた他の児童1人のその後10分間の行動を、日常時と比較した。

その結果、近くにいた児童が親切を行った児童に対してとった親切行動は、日常時の1時間あたり0・47回から5・58回へと大きく増加。体に触れたりして仲良くしようとする行動の頻度も2倍以上となり、社会間接互恵性が幼児期から日常生活で発揮されていることが明らかとなった。

(産経新聞 8月8日(木)10時57分配信分より一部抜粋)

おぉ、やっぱりそうなのか。
まだスレてない子どもだと、おもちゃ貸すような親切な行動をすると恩の10倍返しがあるんですね。この子どもの感覚を、大きくなってからも維持して欲しいなぁ。

なんて勝手な希望を持っている私ですが、いざ自分のこととなると、ついつい欲に溺れてしまいそうになります。でもちょっと待て。親の背中を見て子どもは育つんでしょ?とすれば、私の利己的な発想や言動が、子どもにまで伝播してしまう。そいつはなんとも恐ろしい。

逆に考えると、自分が利他の精神で動いていれば、子どもたちはそれに倣ってくれるかもしれない。

幼少期の「恩の10倍返し」を、大人になって100倍にするのもマイナスにするのも、後天的経験次第ってこと。

自分が利己的で苦しむのはいいけど、その一方でやっぱり子どもたちには徳のある偉大な男になってもらいたいという勝手な親の期待がある。この「親から子どもへの期待」という人類学的に普遍の性質を上手に利用して、私は子どもの教育のためにも利他の精神で動いてみよう、と思えました。子どものためと考えたら、欲に惑う私でも普段の言動を利他に収束できないだろうか、と(笑)

なるほど。「子育ては親育て」なんて言いますが、ほんまですね。立場が人を創る。子どもに胸張って生きざまを見せるためには、親も育っていかないといけませんな。

大人の階段、エンドレス。

 

●終わりに
そう言えば一泊した横田家を出発する際、裕史氏が「これ読んどくといいよ。」と一冊の課題図書を貸してくださいました。

「生き方 ―人間として一番大切なこと―」
稲盛和夫著

横田裕史氏からの課題図書ここには利他の精神がいっぱい

横田裕史氏からの課題図書
ここには利他の精神がいっぱい

―世のため人のためなら、すすんで損をしてみる
―自己を厳しく律しつづける『王道』の生き方をせよ
―リーダーには才より徳が求められる
―人を惑わせる『三毒』をいかに断ち切るか
―『正剣』を抜いたら成功、『邪剣』を抜いたら墓穴を掘る

Oh…
本の中には利他の精神がビッシリと。

いろんなことに気づかせてくださったうえに、「おいお前、この精神を忘れるなよ」と言わんばかりに課題図書まで持たせてくださった横田裕史さん、どうもありがとうございました。

ほんま、親子そろって油断も隙もない(笑)

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