田舎の課題を価値あるモノに変えて、みんなにお届け!

タカシ、逃げるな!怖いなら挑戦せい!

●逃げるタカシ、詰める村長

先日、私のもとに友人からの紹介で一人の大学生がやってきました。そうですね、タカシっていう仮名にしておきましょう。

タカシは大学4回生。聞くところによると大学卒業後は国内で就職せずに、世界各国を旅しながら働き、そこで貯めたお金で奨学金の返済までを考えているとのこと。まずは来年、ワーキングホリデーでカナダ、オーストラリア、ニュージーランドのどこかの国に行って働くって言うてます。

友人は「もしいろいろ気になったらバッサリいって頂いても(OKですよ)」とコメントを残し、私のもとにタカシを置いて仕事に向かいました。。。

村長:「なんで海外に行きたいん?」
タカシ:「だって日本で働くって面白くないじゃないですか。」
村長:「そうか?俺は面白いと感じてるぞ?」
タカシ:「でも俺はそれってなんか違うんですよね。海外で旅しながら働いて、しかもそれで奨学金を返済するってマジすごくないですか?ネットで調べたんですけどそんな人居ないし、面白いと思うんですよね!」
村長:「前例がないから面白いん?」
タカシ:「まぁそういうのだけじゃないんですけど、俺はやりたいんですよね。」

おぅ、君はフワフワやな・・・。

村長:「あーそう。奨学金っていくらなん?」
タカシ:「400万円です。」
村長:「その400万、どれくらいの期間で返済すんの?」
タカシ:「4年か5年くらいで返済する予定です。」
村長:「ほんじゃ年間100万ってとこか。海外ってさ、日本ほど物価が高くない国が多いやん。だから向こうで働いたとしても、日本円の100万円を作るのってけっこうキツくない?どんな仕事すんの?」
タカシ:「フルーツピッキングが時給一番いいっていう情報があるんですよね。みんながよくやる日本食レストランの店員とかはそんなに時給高くないみたいなんすよ。」

「ごめんタカシ、俺あんまり時間ないから後は好きにしてくれたらええわ、じゃぁな、バイバイ」と言いたかったけど、悪友からの預かりものなので、そこはガマン。

村長:「・・・タカシさ、現実的にちゃんと計算した?特に英語ができるわけでもなく、職務経験があるわけでもなく、旅をしながら各地で雇ってもらう形態で年間100万円を貯めるんはキツイで。もし起業とかするなら可能性はあるやろうけど。」
タカシ:「起業は俺の中でまだ今じゃないんですよねー。そこは俺ちゃんと順序を踏んでやろうと思ってるんで。」

ほほぅ、最後の締め方だけは論理的風・・・。

村長:「結局さ、海外に行く目的はなんなん?」
タカシ:「まぁ言うてしまうと、全部俺の自己満足の世界ですよ。」

あ、自己満足なんや。
じゃぁ特に止める理由もないし、お好きにおし。

村長:「ほんならとりあえず海外に行ったらええやん。どうせ失敗するけど、それもまた勉強やわ。」
横に居たセンパイ:「前川君、そんな投げ捨てた言い方しなくても^^ゞ」
村長:「だって、本人がそれで満足したいって言うてるんやったら、しゃーないんちゃいます?」

センパイ:「まぁそうだけど。」

私が別件でお呼びしていた心優しき丹波の先輩が見るに見かねたのか、そこからタカシにいろいろ問いかけられました。しかしタカシの口から出てくる言葉は

「海外に行ったら毎日ブログを書いて、日本の若者に向けて発信したいんですよね。やっぱり情報発信は大事だと思うんで。」 「情報はSNSから取って、海外での人脈を・・・」

なんかそれらしい風なことを語ってくれるのですが、どうも自分の言葉で言うてない。どこかで聞いたことのある流行の言葉をそれなりに並べてるだけにしか聞こえない。マジで忙しいセンパイの心遣いと時間をムダにするとは、タカシ!許さんぞ!

村長:「もうええわ。お前の話はおもんないねん。」
タカシ:「え?」
村長:「だってお前がやりたいことなんて、コレっぽっちも本気ちゃうやろ。そんなヤツレタ目で自分の夢を語る奴がどこにおるよ?夢を語る顔してない。そんな奴の話を聞いてもおもんないねん。」
タカシ:「・・・。」

村長「で、お前は何から逃げてんねん?
タカシ:「え?逃げてる、ですか?俺が逃げてるんですか?」
村長:「そうや、お前、逃げてるやろ、何かから。」

タカシ沈黙。。。
しばらくして

タカシ:「『日本で就職することから逃げてる。』以前友達にそう言われたことがあります。」
村長:「いや、そんなもんちゃう。それは表に出てきた結果であって、お前は心の中にある何かから逃げ続けとんねん。なんかあるやろ、心に引っかかってるもんが。」

また沈黙。。。
しばらくして

タカシ:「俺なんでも自分一人でやってしまうタイプなんです。今シェアハウスの管理をやってるんですけど、それも一人でやってしまっていて、後釜に引き継ぎができてないまま海外に行こうとしてます。だから引き継ぎをすることから逃げてるかもしれません。」

村長:「なるほど。お前さ、誰かとチームを組んで何かをやり遂げた!っていう経験したことある?」
タカシ:「いや、ないです。」
村長:「自分が主催者やなくてもええで。誰かに呼ばれてそのチームに合流して、一丸となって何かやり遂げたこともない?」
タカシ:「ないです。」

村長:「それや。お前はみんなと一緒に何かをやることから逃げてるねん。みんなと関わることから逃げてるねん。だから日本でみんなと一緒に働きたくないねん。お前は何でも自分一人でやり遂げてしまうんと違う、みんなと一緒に行動することから逃げ続けた結果、仕方なしに自分一人でこじんまりと完結せざるをえんくなってるだけや。」

タカシ:「・・・そうかもしれません。」

村長:「ほんでなんか言われたらアーダコーダと御託を並べるやろ。それは自己防衛してるだけやねん。心に触れてほしくないから必死や。でもそうやって自分を開示せんかったら、人は集まってきてくれへんねんぞ。一人でできることなんかたかが知れてる。信頼できる仲間を作って何か一つのことをやり遂げたら、そこから世界観は間違いなく変わるのに、残念やけど、今の世界観のままやったら日本に居ても海外に出て行っても同じことやわ。」

タカシ:「そうですね。」

村長:「さぁそれさえわかったら、あとは行動するだけやんけ。強みも弱みも自分のことをきちんと開示して、少しずつ仲間を作っていって、その仲間と何かコトを興してみ。ほんで仲間と目標を達成するという気持ちええ感覚を味わってみ。生き方そのものが変わるから。まずは逃げずにそれをがんばれ。海外に行くんはそれからや。」

タカシ:「はい、なんだかわかってきました。」

最初はこわばっていたタカシの表情が、だんだんほどけてきて、柔らかみが出てくるようになりました。

村長:「よし、じゃぁ期日を決めよ。海外には来年の4月から行きたいんやろ。そしたらそれまでに日本で仲間と一緒に何かを興せ!わかったか?」

タカシ:「はい、わかりました!」

この会話の後、タカシとは別れました。その後彼がどうしているのか知りませんが、厳しいことを言うても表情が明るくなっていったところを見ると、何か本質的なことを掴んでくれたのではないかと思います。

 

●タカシへ、言い残したことがある①
廃人になって気づいた、「背水の陣」のススメ

そいつはカナダのあるダウンタウンに棲んでいた。日本人のくせして髪の毛は銀色で、学校に通っている気配も無ければ、働いている様子もない。
そのくせ毎晩パーティーに参加して夜通しアルコールを飲み、ベッドに入るのはいつも朝になってから。昼下がりに起きてきて冷蔵庫を開けると庫内にはビールしかなく、昼間っから飲んだくれてフラフラして。いろんなものを飲んで吸ってコケてケガして。そして夜はまたパーティー。

そいつが生気のない廃人になるまで、3ヵ月もかからなかった。

タカシ、これはお前と同じ21歳の男、14年前の俺の姿だ。

21歳の時、俺は大学を休学し、ワーキングホリデーを使ってカナダで暮らしていた。
周囲には「人と同じようなことしててもおもんない。俺はカナダで一旗揚げてくるわ」なんてことを言い放っていたものの、あの時の渡加は、内心では受け入れたくない現実や、将来への不安からの逃げだった。ただ、逃げるにしてもカッコだけはつけていたいもんだから、逃げ先を「海外」にした程度のことだ。

逃げた結果、やはり何も身につかなかった。たいして英語ができるようになったわけでもなく、何かやり遂げた達成感もなく。1年間ただ息を吸って生息していただけだ。

ただ、そんな海外生活でも一つだけ収穫があった。
それは、自分は甘えられる環境にいると、とことん甘えてしまう性格だということを強く強く認識できたことだ。

思い起こせばカナダに行くまでは、甘えられないレールの上を自動的に走らされていた気がする。そして、それなりに走れているとも思っていた。

中学校では県大会で優勝するくらいソフトテニスに一生懸命だった。
高校では大恋愛が奏功して学業に没頭でき、目標だった大学に合格した。
大学ではバイトにテニスにとにかく充実していた。
(学業は卒論の学会発表を断られるくらいヒドかったが・・・^^ゞ )

これら全て用意されたレールの上を快調に走っていたから、レールが無ければ暴走はおろか自走すらできないただのポンコツだということに気が付いていなかった。1年間カナダに滞在して、それに気づけたことは本当に収穫だった。

今のタカシを見ていると、当時の俺とかぶるところがある。

目的や大義はないけれども、とりあえず国内ではなく聞こえの良い「海外」というフィールドに行けば周囲からも一目置かれるだろう、的な甘い考えが見え隠れする。

しかしな、目的もなく逃げて、しかもそこにレールがないというのは、人を簡単に廃人にするもんだぞ。少なくとも俺はそうだった。

だから俺は休学中に自身の過去を冷静に振り返ってみて、座右の銘を「背水の陣」とした。俺は動かなくてよい状況ではダメ男になり、強制的に動かなければならない状況を作ってやるとそこそこ能力を発揮できるタイプの人間だという振り返り結果が出たからだ。
(夏休みの宿題だって8月31日にすごい集中力で片付けていたもん。)

それ以来、俺はダメ男になりたくないから、目の前の状況から逃げずに自分に負荷をかける生活を強いている。
「これ自分、飛び越えるには高すぎるって!」というハードルを、わざわざ目の前に設置する。別にそんなハードルがなくても明日はやってくるのに、わざわざキツめのハードルを設置する。毎日勝手に締切に追われるような生活だ。これはなかなか楽しいぞ。他人が設置する、自分の意思と一致しないハードルは面白くないけど、自分の意思で設置したハードルはやりがいがあって面白い。乗り越えるために必死のパッチで頑張れるし、乗り越えた時の充実感たるや最高だ。

特に丹波に来てからはMさ加減がひどい。いつもプレッシャーをかけてくる悪友たちがいるから、全く気も抜けない。ハードルの設置を怠ろうもんなら、俺が苦しみ喜びそうなハードルを悪友がこっそり持って来やがる。それもまた高いやつを。今朝も、また(笑)

時として一人ではどうしようもないハードルもやってくる。そんな時に一人で悪戦苦闘してると、一人、二人と仲間が助けに来てくれるもんだ。志を一つにした仲間は、身を粉にしてでも来てくれる。もちろん、仲間が困っている時は俺もとことん手助けする。何が何でも助ける。その前提があっての仲間だ。

そうしてハードルを越える度に、自分の能力はどんどん伸びていくし、仲間との信頼関係も強くなる。何もしなくても平凡な明日はやって来るが、こういうハードルを設定すると、激しく面白い明日がやってくる。

タカシ、どんな明日を迎えたい?

 

●タカシへ、言い残したことがある②
そうは言うても、辛いこともある。怖いから逃げたくもなる。だからこそ挑戦して仲間を作って、次なる挑戦に備えるんだ。

サラリーマンをやめてこの田舎の零細企業を継ぐにあたり、俺の送別会の席で当時の担当役員に「君は必ず失敗する」という手向けの御言葉をいただいた。送別会でなんちゅうことを言うてくれるんやと思っていたが、案の定、丹波に来てからちゃんと悪戦苦闘している。

・生活環境が変わって、都会育ちの妻には逃げられそうになった。(今となっては首の皮一枚で繋がっている)
・事業のトラブルで心が病んだ時は、朝から泣いてばかりでメシ食えないどころか水も飲めず、苦手なダイエットに成功した。(幸か不幸か、今となっては腹の皮の下には豊富な肉がついている)

これらは当時の自分からしたらかなり大きなインパクトがあった。一家の家長であったり会社の社長であったりすると代わりが利かんわけで、逃げ出したくても逃げることができないんだ。つまりこれは前述の通り、俺にとっては自身の力を最大限に発揮する「背水の陣」という布陣だったわけだが、当時の俺にとっては一人で乗り越えることは困難だった。

そんな一人ではもう立ってもいられないくらいの状態になった時、頼れるのは仲間だけだ。それ以外はない。

世の中には金があればなんとかなると考えている人もいるようだが、彼らはそのお金が尽きた時にどうするんだろうか?だって、お金で集まる人は、お金が無くなったら去っていくんだぞ。悲しいかな、お金を要求する人は青天井に求めだすんだぞ。日本銀行しか生み出せない有限なお金ではなく、自分自身が無尽蔵に生み出せる愛で勝負する方が賢明だろ?仲間は最後まで面倒みてくれるけど、ほら、諭吉はいつもそっぽを向いて知らん顔しとるだろ。

だからタカシ、今はお金を作ることもいいが、まずは仲間を作れ。質の高いチームを作れ。志をともにできるコミュニティーを作れ。傷の舐め合い集団じゃないんだから、こいつはお金では買えない。自分を磨いて、逃げずに挑戦することでしか得られない。その姿を見た周囲の人間がお前のもとにやってきてくれるから。必ず誰かが見てくれている。

転ばない人生はない。断言する。人生そのものが初めて歩む道だからだ。大事なのは転ばないことではない、転んでからどう起き上がるかだ。

一生懸命にがんばってるお前が派手に転んだら、周囲の人間が手を差し伸べてくれる。そこから周囲を巻き込んで、転んだ分以上を取り返せばいい。流行りの言葉に流されるのは好きではないが、倍返しだ。だけど何もしてないお前が地味に転んでも、周囲は見て見ぬふりかもな。お前も恥ずかしそうに起き上がって、何事もなかったかのように傷ついた心に蓋をして振る舞うのかもな。

挑戦すればするほどそのセーフティーネットは広く、そして深くなるんだ。先輩風吹かせて悪いが、これは経験からわかる。

俺だって怖くなることがあるんだぞ。こんな話を周囲にすると、みんな「ウソやろアンタ?」みたいな顔をするけど、俺だって元は心か弱き男の子だ。夜中に一人になった時に、たまらない恐怖感を味わうことがある。なんでわざわざ安定を捨てて田舎に戻ってきたんだろう、とか、一瞬脳裏をかすめる。

でもな、怖いからこそ前に踏み出せるんだ。不安定だからこそ一歩前に踏み出せるんだ。まぁ言うたら竹馬みたいなもんだ。コケそうになったらコケまいと必死になって次から次へと足を繰り出すだろう。そうしているうちに気が付いたら逆境をすごいスピードで走れるようになる。俺は弱い人間だから、竹馬に乗っているんだ。

 

俺もたくさん御託を並べたけど、お前と話した時、ちょっと腹立たしいと感じたのは、当時の俺と似てたからかな。

今になってしみじみ思うが、気を遣わず、楽しい事悲しい事問わず、心底語り合える仲間がいるって本当に幸せな生き方だと思っているし、そんな時間がある人生こそが、豊かな人生だと思っている。

そんな仲間を作るためにも、タカシ、まずは逃げずに挑戦だ。

 

 

自戒を込めて。

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